日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌
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ALM(資産負債管理)の考え方に基づく銀行のリスク管理へのモデル・アプローチ
枇々木 規雄福川 忠昭
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1992 年 35 巻 4 号 p. 319-344

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抄録
近年の金融の自由化・国際化により、日本の銀行の経営環境は大きく変化した。例えば、自由金利による調達手段の増加、BIS(国際決済銀行)による自己資本比率規制、オフ・バランス取引などの新しい取引手法の拡大、などである。そのため財務リスクは非常に増大し、銀行は利益管理だけでなく、リスク管理も不可欠となってきている。本研究論文では、銀行のリスク管理手法であるALM(資産負債管理)手法の考え方に基づいてリスクの管理手法を考える。まず、ALMで管理するリスクの中心となる流動性リスク及び金利変動リスク指標の提案を行う。そして、銀行の置かれている状況を整理し、提案するリスク指標を折り込んで、リスク管理問題のモデル化を行う。この際にリスクとトレード・オフの関係にある利益と関連させてモデル化を行い、方法論としては、利益とリスクという多目標を扱うことができ、しかもそのトレード・オフの関係をうまく表現できる数理計画法の1つである多目標計画法の適用を試みる。そして、いろいろなケースについてモデルの分析を行い、数理計画モデルによるアプローチの有用性を検証する。
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© 1992 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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