抄録
通信網では多様な制御が行われている。これらの制御を実現する上で、しばしば性能の推定が必要になる。網が実際に使用されている、いわゆる網運用時に好適な性能の推定法としてベイズ推定に基づく性能推定が考えられる。本稿では、その具体的適用方法を、ATM網におけるVP制御を例に述べた。実際の網運用時には、詳細なトラヒック測定を常時行うことはできない。その反面、網運用以前に得られている性能推定対象システムに関する情報やトラヒック条件に関する情報があり、また性能の測定も行われている、これらを利用して当該システムの性能を推定するには、ベイズ推定の枠組みが有効である。ATM網のVP制御を例に、以下の様な具体的適用方法を検討した。(1)網運用以前の情報から、ベイズ推定のためのモデルの構成とその初期値の決定を行うこと。(2)ベイズ推定に必要な各確率変数の分散を、シミュレーション等により、決定すること。数値例により、本提案に基づく制御が良好に動作することを示した。