日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌
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相互評価の下での不可能性定理
安藤 和敏小原 朱理山本 芳嗣
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2003 年 46 巻 4 号 p. 523-533

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抄録

民主的な社会的決定方法が存在しないことを示唆するArrowの不可能性定理は,社会的選択理論における古典的結果である.Arrowの設定では,社会の各構成員は全ての選択肢に対する選好順序を表明するが,本論文では社会の構成員が相互に評価しあう状況,すなわち,社会の各構成員が自分自身を除いた他の全ての構成員に対して選好順序を表明する状況を対象とする.このような相互評価の状況の下でのArrow及びHanssonの公理系を再定義し,いくつかの公理の組合せでは社会的厚生関数の存在に関して肯定的な結果を導くことができないことを示す.

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© 2003 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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