抄録
高齢者の世代間交流を促す取り組みの1つに、日本の自治体において実施されている「シニアの絵本読み聞かせ講座」がある。本講座を通して高齢者が絵本読み聞かせ活動を行うことは、彼らの健康状態の向上や対人交流の増加といった望ましい効果を有する。本研究では、高齢者の健康状態と関連し得る「高齢者イメージ」に着目する。本研究では、「シニアの絵本読み聞かせ講座」の参加者500名 (M = 72.13歳、女性464名) を対象とし、高齢者イメージと講座参加理由との関連について検討した。ロジスティック回帰分析の結果、高齢者へのポジティブイメージが強い参加者ほど、「絵本を楽しむ」という参加理由を持ちやすい一方で、ネガティブイメージが強い参加者ほど、「ボランティア仲間づくり」という参加理由を持ちにくかった。また、「もの忘れ予防」といった基礎的な健康状態の維持に関する参加理由と高齢者イメージとの関連についても議論した。