抄録
高齢者の社会参加の促進が提案されている中で、地域で実際に活動している高齢者は少ない。
社会参加への意向があるにもかかわらず、その意向が充足されず、希望する活動と活動状況と
は必ずしも一致していない。世代間交流を通じた地域活動への参加も同様で、熟慮されたプロ
グラムが必要とされる。そこで、我々は高齢者の関心が高い健康増進教室に着目した。プログ
ラムは絵本の読み聞かせ法の習得をテーマとする「認知症予防」講座とした。一般公募の高齢
者54 人のうち計12 回の講座修了後に26 人が読み聞かせグループを結成して世代間交流の担
い手となることを希望した。自己完結の健康増進教室への参加から世代間交流型ボランティア
へと発展する予知因子として精神的健康度が高く、社会的活動が乏しいながらも精神的に自立
度が高いことが明らかになった。