日本世代間交流学会誌
Online ISSN : 2758-5905
Print ISSN : 2185-7946
大学生の祖父母との接触経験が高齢者のイメージ判断と言語連想課題に及ぼす影響
自伝的記憶の構造に着目した検討
小川 将鈴木 宏幸
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 8 巻 2 号 p. 03-11

詳細
抄録
イメージ判断を行うにはその判断材料の1つである記憶が関与している。 本研究では祖父母との接触経験が高齢者における言語連想課題の産出語数とイメージ判断を行うまでの反応時間に及ぼす影響を検討した。 大学生 54名 (男性8名、女性46名、平均年齢19.06±0.95歳) を対象とし、パーソナルコンピュータ画面上に呈示される高齢者に対するポジティブな文章と ネガティブな文章に対して自身のイメージに当てはまるかどうかの判断を求めその反応時間を測定した。その結果、男性よりも女性の方が判断に要する時間が短いことが示された。また、 祖父母との接触経験の頻度により高群 (n=27)と低群 (n=27) に分けて、 同様の検討を行ったとこ ろ、ポジティブな文章に対しては低群より高群の反応時間が短い傾向にあった。 他方、接触経験の頻度と語想起課題の産出語数との関連はみられなかった。 祖父母との接触経験の豊富さが画一的なイメージ判断を防ぐことに寄与する可能性が示された。
著者関連情報
© 2019 日本世代間交流学会
次の記事
feedback
Top