消化器心身医学
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Print ISSN : 1340-8844
ISSN-L : 2188-0549
原著
消化器症状の出現によりひきこもりになり,確定診断と治療によってひきこもりが改善したクローン病の1例
野村 収澁谷 智義長田 太郎松本 健史坂本 直人北條 麻理子永原 章仁荻原 達雄渡辺 純夫増田 淳
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2014 年 21 巻 1 号 p. 23-25

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抄録
【症例】24歳男性。元来内気で真面目な性格であったがこれまで社会生活に問題はなかった。2年前より家族との会話も徐々になくなり,また外出もしなくなり1日中自室に籠もるようになった。今回,腹痛と頻回の排便に家族が気付き当院受診となった。受診時に38℃台の発熱,腹部に高度な圧痛と反跳痛,下痢,著明な貧血と高度栄養不良があり緊急入院となった。下部消化管内視鏡検査ではS状結腸から横行結腸にかけて縦走潰瘍を認め,生検組織検査にて非特異的肉芽腫が検出されクローン病と診断した。中心静脈栄養,プレドニゾロン50mg/dayによる治療を開始した。治療開始後,解熱,腹痛の改善,下痢回数も減少した。入院時は全く会話がない状態であったが,病態改善と伴に医療スタッフおよび家族と会話をするようになり現在では,外来にも1人で通院している。ひきこもりの原因がクローン病であった症例と考えられた。
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© 2014 消化器心身医学研究会
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