抄録
著者らが重質油の水素化分解に用いた粉末状Co-Mo/アルミナ系触媒の寿命を検討することを目的として, アスファルテンあるいはバナジウム化合物で処理した触媒の活性とたい積バナジウム量の関係を調べた。その結果, 触媒の脱硫活性の低下は主にたい積金属に起因するが, 脱硫活性低下後も分解活性は維持されることが明らかとなった。また, オートクレーブにより繰返し使用した触媒上にたい積したカーボンを除去し, 触媒再生の有効性について検討した。さらに工業用脱硫廃触媒の利用について検討を加え, 脱硫活性は低下しているものの分解活性は新触媒と同程度であることを明らかにし, 本プロセスにおける水素化分解用触媒として使用できる可能性を示唆した。