石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
シリカ-アルミナ触媒上での2,4-ジフェニル-1-ブテンの異性化
小川 太一沢口 孝志黒木 健池村 糺
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1981 年 24 巻 2 号 p. 128-135

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抄録

シリカ-アルミナ固体酸触媒 (SA) 上での2,4-ジフェニル-1-ブテン (DPBE) の異性化反応を調べるために, 固定床流通系装置を用いて, 反応温度300°C, 接触時間 0.1×104~40×104g-cat×sec/g-mol-feed の条件下で実験を行った。反応には2種類の市販SA触媒 (ISと Neobead-P) を使用した。
両触媒を用いて実験したときの主要生成物はおのおの異なった (Table 2)。IS触媒を用いた実験では1-メチル-1-フェニルインダン, シス-とトランス-1, 3-ジフェニル-2-ブテンそして低沸点生成物が生成した (Fig. 4Fig. 5)。しかしながら,Neobead-P 触媒を用いた実験では主要生成物はシス-とトランス-1,3-ジフェニル-2-ブテンのみであり, 1-メチル-1-フェニルインダンと低沸点生成物は生成しなかった。
両触媒の全酸量 (mmol/g) の測定結果 (Fig. 1) にもとずいて, 触媒の性質と反応生成物との関係を検討した結果, 1-メチル-1-フェニルインダンの生成 (骨格異性化反応) はH0<+1.5の酸点上で起こり, H0>+1.5の酸点上ではDPBEの二重結合異性化反応が選択的に起こることが明らかとなった。さらに, IS触媒では接触時間の増加によって, 1-メチル-1-フェニルインダンの分解が促進され (Fig. 6), 同時にコーク生成も顕著となった (Fig. 7)。このことは1-メチル-1-フェニルインダンから低沸点生成物を生成する過程で, コークが生成することを示す。
本実験ではIS触媒において, ブレンシュテッド酸点上でのプロトン付加がDPBEのフェニル基よりもα-オレフィンに先行し (Eq. 1), 第3級ベンジルカルボニウムイオンIは重要な反応中間体であると推定された。一方, Neobead-P 触媒ではルイス酸点の寄与が1,3-ジフェニル-1-ブテンの生成によって推定された。

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