1996 年 39 巻 6 号 p. 395-402
超臨界水および超臨界メタノールとベンズアルデヒドの反応実験を553Kから693Kの温度範囲で行い, 得られた反応生成物の収率の経時変化より反応経路を推定した。超臨界水とベンズアルデヒドの反応ではベンゼンが主生成物であり, これはベンズアルデヒドの熱分解によって生成したものと思われる。また, 副生成物としては安息香酸とベンジルアルコールが検出された。これらの副生成物はベンズアルデヒドと水との反応によって生成した水和物とベンズアルデヒドとの Cannizzaro タイプの不均化反応によって生成すると考えられる。また, 超臨界メタノールとベンズアルデヒドとの反応では, 主生成物はベンジルアルコールであり, 副生成物としてジメチルアセタール, ベンゼン, 安息香酸メチルが得られた。本実験条件下においてはメタノールとベンズアルデヒドの平衡反応によりアセタールがかなりの割合で生成していることが分かった。主生成物であるベンジルアルコールはヘミアセタールの熱分解によって生成していると考えられる。