石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
Ni-Mo/Al2O3およびCo-Mo/Al2O3触媒による置換フェノール類の水素化脱酸素反応
奥田 晴彦新井 太水田 晋池永 直樹鈴木 俊光
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1997 年 40 巻 3 号 p. 192-198

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抄録
置換フェノール類の水素化脱酸素反応 (HDO) を市販のNi-Mo/Al2O3触媒およびCo-Mo/Al2O3触媒を用いて流通式反応装置で検討した。Ni-Mo/Al2O3触媒での主生成物は芳香環水素化の後に脱酸素されることによって得られる置換シクロヘキサン類であったが, Co-Mo/Al2O3触媒での主生成物は芳香環からの直接脱酸素によるベンゼン類であった。3,4または5位にメチル置換されたフェノール類の反応性はメチル基の電子供与性効果によりOH基と触媒表面とのより強い相互作用が生じるため, 置換基が存在しないフェノールの反応性より増大する傾向が認められたが, メチル基の電子供与性による促進効果はCo-Mo/Al2O3触媒の方がNi-Mo/Al2O3触媒より顕著に認められた。
2,6位にメチル置換されたフェノール類の反応性は置換基の立体障害により触媒への吸着が阻害され, 著しく低下した。この傾向もまた, Co-Mo/Al2O3触媒の方がNi-Mo/Al2O3触媒より明確に現れ, Ni-Mo/Al2O3触媒では芳香環の水素化後に脱水反応により脱酸素反応が起こるため, 2,6位の置換基の影響を受けにくかったものと考えると, 両触媒の作用機構の差異が説明される。
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