日本臨床歯科学会雑誌
Online ISSN : 2759-1883
Print ISSN : 2435-8517
病的な下顎位が原因で不定愁訴になった患者に対し包括的治療にて対応した一症例
構 義徳
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2022 年 8 巻 1 号 p. 76-85

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抄録
症例の概要:40歳の男性.10年間他院にて矯正治療を受けていたために,重度の頭痛,首まわりの凝り,不眠,鼻閉感などの体 調不良を主訴として来院した.上顎左右犬歯切縁に咬耗,遠心部に第一小臼歯抜歯による空隙の残存が認められ,そのほか数本 の歯に修復箇所があった.術前において下顎後方位をともなう側方偏位であった下顎位を是正し,包括的治療計画に基づき治療 を行ったことで,症状が改善,寛解し,目標どおりの治療結果が得られた. 考察:最適な下顎位を模索するために,顎運動を参考にして治療下顎位を仮決定後,オクルーザルアプライアンスを製作し 3 週 間使用し,再び顎運動の再評価を行った.その位置を最適な下顎位とし,包括的治療を行うことで良好な治療結果につながった と考えられる. 結論:患者を治療する前に,適切な治療計画を立案しなければいけない.複雑な状況であればあるほど緻密に考え,綿密に順序 立てられた治療計画を立案し,複雑な要素を 1 つ 1 つ段階的に確認することで,失敗の原因を除去しなければならない.
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© 2022 日本臨床歯科学会
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