日本腎臓学会誌
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腎臓のAmino酸代謝
福田 祐幹荒井 純子Joel. D. Kopple杉野 信博
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1982 年 24 巻 10 号 p. 1111-1125

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抄録

 慢性腎不全,血液透析患者の血漿遊離amino酸のimbalanceに関与する腎臓の役割を解明するためuranyl-nitrate(UO2(NO3)2・6H2O)1.0~2.0mg/kg・体重をfemale mongrel犬に6±3(mean±S.D.)ヵ月間経静脈的に随時注入し作製した慢性腎不全犬においてpostabsorptive state(1/2生理食塩液注入)とpostprandial state(22種類のL-amino酸混合溶液注入)で,大腿動脈,左腎静脈の全血,血漿,血球の遊離amino酸,並びに左尿管より採尿した尿遊離armino酸を測定し腎amino酸net production(腎静脈への放出,合成),およびnet ulilization(腎動脈より捕捉,利用)を算出(Qmet),以下の結果を得た。 1.正常腎はpostabsorptive Mateで全血Qmetを算出するとtyrosine, alanine, serine, ammoniaを合成しglutamineを利用するがpastprandial stateでは腎臓はQmetを合成から利用に変化させserineのみを合成し他の9種類のamino酸を腎動脈より補捉,利用して生体のamino酸poolsを調節した。 2.病的腎でのamino酸の合成・利用は正常腎と同様の傾向を示したが,「その絶対値」は減少し,空腹状態でcystine,glutamic acid,serineの合成及びglutamineの利用が有意(P<0.05~P<0.001)に,また食後の高amino酸状態ではserine ornithineの合成,glycineの利用が有意(P<0.05~P<0.001)に低下した。 3.病的腎のamino酸handlingはamino酸負荷により正常腎と類似傾向を示しglomerulartubular balanceにより生体のhomeostasisを維持していた。 4.減少した病的腎のQmetはserene, histidlne, arginine, citrullneの血中amino酸濃度に影響を及ぼしている可能性を示唆した。 5.全血,血漿,血球の正常,病的腎のQmetで全血のQmet値が高値を示し血漿Qmetよりも利用価値が高いと推察された。

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