日本緬羊研究会誌
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粗飼料を単体給与したメンヨウにおける反芻胃内容液通過速度と微生物態タンパク質合成量との関連
一戸 俊義古川 和明藤原 勉
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1998 年 1998 巻 35 号 p. 5-11

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抄録

反芻胃内容液通過速度の差異が微生物態タンパク質合成量に及ぼす影響について検討した。反芻胃カニューレを装着した日本コリデール種成メンヨウを3頭供試し, トウモロコシサイレージ (CS) および細切チモシー乾草 (TH) をそれぞれ自由摂取させた。各飼料給与時に, 反芻胃内に人工唾液を0, 1, 2および3l/d注入した。各処理における反芻胃内容液量, 反芻胃内容液通過速度定数および微生物態窒素合成量を測定した。可消化有機物および粗タンパク質摂取量は, CS給与時に比べてTH給与時が有意に高かった (P<0.05) 。また, CSおよびTH給与時では, 水分摂取パターンが大きく異なった。各飼料給与時において人工唾液の注入レベルは, 反芻胃内容液量および内容液通過速度定数に明確な影響を及ぼさなかった。内容液通過速度定数はTH給与時がCS給与時に比べて高い傾向にあり, 反芻胃内容液量はCS給与時がTH給与時に比べて有意に高かった (P<0.05) 。反芻胃内容液通過量は処理間で差は認められなかった (P>0.05) 。微生物態窒素合成量は, CS給与時に比べてTH給与時で有意に高く (P<0.05), 各飼料給与時で人工唾液注入レベルの影響は認められなかった (P>0.05) 。人工唾液の反芻胃内注入が内容液通過速度に及ぼす影響は明確でなく, 微生物が利用可能な窒素およびエネルギー供給量の差異が反芻胃内微生物態タンパク質合成量に影響を及ぼすことが示唆された。

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