日本泌尿器科學會雑誌
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前立腺癌に対する酢酸クロルマジノンの制癌効果に関する研究
松岡 政紀黛 卓爾志田 圭三
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1980 年 71 巻 9 号 p. 1010-1023

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抄録

末処置前立腺癌45例 (病期A-4, B-4, C-18, D-19), 再燃前立腺癌7例に対し酢酸クロルマジノン (CMA) 100mg経口投与を行ない, 制癌効果ならびにその作用機序の検討を行なつた. 末処置病期A, BはCMA投与のみで十分な制癌効果がえられ, 5年実測生存率は86%であつた. 病期Cでは平均2年9カ月間はCMA投与のみでコントロール可能, 爾後段階的強化にきりかえる事により, 5年実測生存率84%の成績がえられた. 病期Dと再燃例ではCMA投与のみでは十分な制癌効果はえられなかつた. CMAは血漿脂質上昇をふくめ長期投与にもかかわらず副作用は殆んどみられず, 病期A, B, C症例に対する第1選択薬として, 推賞されるべきものである.
尚, 作用機序については, 血中FSH, LH, テストステロン, コーチゾール値の変動等からして, その制癌効果は専ら直接的抗前立腺作用によるものであり, これに中枢抑制等を介する間接的抗前立腺作用, 副腎皮質ステロイド生合成抑制等が加はり強力な効果が発揮されるとの見解を得た.

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