日本泌尿器科學會雑誌
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睾丸内分泌機能の指標としての血中 Testosterone, Estradiol および Estradiol/Testosterone 比の検討
睾丸機能の研究 第9報
江夏 朝松熊本 悦明
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1981 年 72 巻 11 号 p. 1450-1469

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抄録

血中 testosterone, estradiol を測定し睾丸内分泌機能の指標としての検討を行つた. 精索静脈血中testosterone, estradiol 濃度は末梢血中濃度より高く, 睾丸からの生産分泌はあきらかである. しかし, 濃度勾配を比較すると testosterone における95.1倍に対し estradiol の場合38.1倍であつた. 末梢血中 estradiol における peripheral conversion の関与を物語つていると思われる. 睾丸内分泌機能障害例においては, 血中testosterone 値の低下を認めるが estradiol 濃度については低値を示しているわけではない, しかしE2/T比はtestosterone 値の低下に相関して上昇しており, 絶対的, 相対的な estradiol 優位の状態が認められた. HCG10,000単位負荷にて, 血中 testosterone は経時的に漸増していくのに対し estradiol 濃度の変動は24時間後にpeak を示し以後漸減しており testostreone, estradiol の反応に解離を認めた. 各種性腺機能障害例におけるHCG負荷テストでは testosterone の反応と同様 estradiol の反応低下を認めた. 血中 estradiol を指標とした場合でも Leydig 細胞予備機能の低下はあきらかである.

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