日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
副甲状腺々腫摘除前後の生化学的変化
I. 術後2週間のCa, Mg, P, Immunoreactive PTH, Nephrogenous c-AMPの変動
北村 唯一大谷 幹伸上野 精新島 端夫
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1981 年 72 巻 2 号 p. 151-158

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抄録

腎結石を合併する原発性副甲状腺機能亢進症患者4人を対象として, 副甲状腺々腫摘除術前後の血中及び尿中カルシウム (Ca), マグネシウム (Mg), 燐 (P) 及び血漿immunoreactive parathyroid hormone (i-PTH), nephrogenous adenosine 3', 5'-monophosphate (N-CAMP) の変化を追究した. 血漿i-PTHと血漿, 尿中c-AMPはradioimmunoassay法にて測定した. このi-PTH測定キットは, C端に特異的に反応する. MgはXylidyl Blue法で, Ca, P, クレアチニン, Al-Pはautoanalyzerで測定した. 血中Ca, 尿中P, 血漿i-PTHそしてN-CAMPは, 術後第1日に有意に低下した. 血中, 尿中Mgは術後第3日に軽度低下した. 尿中Caおよび血中Pは, 術後2週間有意な変化を示さなかつた. N-CAMPに関して, 2つの奇異な変化が認められた. 1つは, 患者M. Y. において術後N-CAMPが低下せず, 逆に上昇を示したことである. もう1つは他の3人において, 術後N-CAMPが急激に低下してマイナスとなつたことである. この2つの問題は, 将来更に研究を重ねる必要がある. 結論として, 術後第3日を過ぎれば, 殆んど全ての測定値は正常値へと移行を始め, 術後2週間でほぼ正常範囲内に回復した.

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