1975年1月より, 1980年12月までの6年間に, 28名の精細胞由来の睾丸腫瘍患者を経験した. Stage Iと診断したセミノーマの12名は放射線療法により, 全員が腫瘍の徴候なく, 6ヵ月~5年1ヵ月生存している. 進行性又はHCG高値のセミノーマ, および非セミノーマ16名には, 放射線療法, 化学療法, 後腹膜リンパ節廓清, あるいはその他の外科療法の単独またはその組合せによる治療を行つた. 後腹膜リンパ節廓清を最初に行つた者は6例で, そのうち1例は廓清不能であつた. しかし, 廓清しえたと判断した5例も全員再発を来した. 初回より, CDDP, BLM, VBLの多剤併用を行つた進行性非セミノーマ3例は, 全例が完全寛解を得られ, 持続している. しかし, 他の薬剤による化学療法や放射線療法を受けた者は, CDDP, BLM, VBLを投与しても, 初回にこの組合せによる化学療法を受けた者に比べ, 効果は不充分であつた.