日本泌尿器科學會雑誌
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腎結石症に対する体外腎手術の検討
小野 佳成絹川 常郎松浦 治平林 聡竹内 宣久小川 洋史梅田 俊一大島 伸一
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1983 年 74 巻 5 号 p. 834-839

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抄録

1978年1月から1981年12月までに12例の多発, 珊瑚状結石症例に自家腎移植, 体外腎手術を施行した. うち5例は手術腎のみが腎機能を有する片腎症例であつた.
体外腎手術所要時間は60分から120分で平均95分, 切石方法は拡大腎盂切石術及び腎切半術に準じたもの, 各々3例と9例であつた. 手術時出血量は400mlから3,000ml, 平均1,225mlであつた.
結石は全例とも完全に摘出された. 片腎症例のうち3例に創感染, 腎周囲膿瘍, 尿漏の合併をみ, うち1例は治癒し腎機能も改善したが, 2例は敗血症にて死亡した. 他の9例は重篤な合併症もなく治癒し, 腎機能の改善が認められた.
腎機能の経時的推移が検索可能であつた片腎症例全例に術直後に一過性腎機能の低下がみられた. 上記合併症のみられた3例は明らかな低下 (最高S-Cr値>3mg/dl) が, 更に死亡した2例は著明な低下 (>8mg/dl) が観察された.
これら全症例について検討を加え, (1) 術中出血量と体外腎手術侵襲の大きさとの間に相関する傾向が認められ, (2) 術直後の一過性腎機能低下が術前の腎障害や体外腎手術時の腎への侵襲の大きさに相関する傾向が認められた. 等の結果を得た. これらのことより, (1) 術直後の腎機能低下に対して透析も含め巌密な患者管理の必要性, (2) 腎への侵襲を最小限にする体外腎手術術式を選択すべき等が明らかになつた. 以上のことをもとに本術式の適応の限界につき考察を加え報告した.

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