日本泌尿器科學會雑誌
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勃起不全の診断
第3報 インポテンス患者にみられる REM (rapid eye movement) 睡眠の減少について
今川 章夫赤澤 誠二
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1983 年 74 巻 7 号 p. 1213-1218

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抄録

インポテンスを訴える63例 (Table 1) に REM-penogram (measurement of nocturnal penile tumescence) を測定し, 睡眠脳波の睡眠相を分析した. 睡眠相の分析に使用したパラメーターは Table 2に示した. 数症例には optokinetic nystagmus test, eye tracking test, adrenalin loading test を用いて, 脳幹機能検査を施行した.
以下の結論がえられた.
1) インポテンスを訴える患者63例中, REM-penogram で35例を機能的, 28例を器質的と診断した. 全症例と機能群, 器質群の睡眠相の分析結果を Table 4に示した. REM-T/TST は機能群に比べ器質群で有意に低下を示した.
2) 機能群では REM-T/TST の低下は慢性腎不全, 頭頚部外傷に頻度が高かつた (Table 5, 6).
3) 脳幹機能障害群ではREM睡眠の異常が高頻度にみられた (Table 7, 8).
以上の結果から, インポテンス患者の一部にはREM睡眠の中枢や, 性行動の中枢を含めた脳幹部の機能が種々に障害されていることが推定される. 同時に今回の研究で得られたインポテンス患者のREM睡眠の異常は脳幹機能障害の一反応であることが考えられる.

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