日本泌尿器科學會雑誌
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Print ISSN : 0021-5287
腎動脈に存在する結合織タンパクの昇圧作用
第1編 高血圧自然発症ラットの腎動脈中の collagen, non-collagenous protein の代謝亢進と高血圧の発症機序
中田 瑛浩
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1984 年 75 巻 2 号 p. 233-239

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抄録

高血圧自然発症ラット (SHR), 脳卒中易発症ラット (SHRSP) の高血圧の発症を解明する目的で, 腎動脈, 心臓の結合織タンパク代謝を検索した. 6週齢より8週齢にかけて若年期のラットに降圧剤を投与し, 屠殺2時間前に3H-proline を投与し上記 vasculature 中の collagen および non-collagenous protein への3H-proline の取り込みを測定した. 高血圧ラット (SHR, SHRSP) の腎動脈の collagen, non-collagenous protein 中への3H-proline の取り込みは, 正常血圧ラット (WKY) のそれより高値であった. clonidine ないしPOB投与はすべてのラット strain に降圧効果を発揮すると同時に, これらの vasculature 中の fibrous protein への3H-proline の取り込みを抑制した. 一方, 心臓の collagen, non-collagenous protein 中への3H-proline の取り込みは, 高血圧ラットでも正常血圧ラットでも大差なく, 降圧剤投与を受け血圧が下降しても大きな変動を示さなかった. 血清中の free proline の specific radioactivity はどのラット群でも, どのような降圧療法を受けても有意差はなかった.
従って, 腎動脈中に存在する collagen, non-collagenous protein の代謝亢進がこれら genetically hypertensive rats の高血圧の pathogenesis の1つであると推測された.

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