日本泌尿器科學會雑誌
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Print ISSN : 0021-5287
尿中 Arylsulfatase A の研究
丸 彰夫三橋 公美小杉 雅郎関 利盛小柳 知彦
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1984 年 75 巻 4 号 p. 672-680

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抄録

泌尿器疾患を主とした各種疾患の尿中 Arylsulfatase A (ASA) 活性を測定して次の結果をえた.
1) 各種泌尿器疾患における単位尿量および単位蛋白量あたりのASA活性は, 正常人尿と疾患尿との間で有意差を認めなかった.
2) 各種疾患群の尿ASAは熱処理 (62.5℃, 10分間) に対して正常群に比し著るしく不安定であった. しかし各種疾患相互を区別することは出来なかった.
3) 尿ASAの等電点分画を行うと, 先天性腎孟尿管移行部狭窄症術後患者の腎瘻尿および約半数の腎癌, 浸潤性膀胱癌患者の膀胱尿のPIは5.2~5.3であるのに対し, 正常人および他の各種疾患の膀胱尿, 尿管尿のPIは4.6~4.7であった.
4) 腎瘻尿ASAは膀胱尿ASAに比し約1/7の活性しか示さず, 熱処理に対しても著るしく不安定であった. また両酵素は等電点および抗原性も異にしており, 腎瘻尿ASAは従来から研究されてきた膀胱尿ASAとは異なるタイプの酵素であると思われる.

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