日本泌尿器科學會雑誌
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尿道下裂及び男性半陰陽における vaginal rest (残存膣) の形態学的検討
梅原 次男熊本 悦明丸田 浩大野 一典
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1985 年 76 巻 5 号 p. 635-644

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抄録

1968年4月から1984年3月までの16年間に当科で手術療法を行った尿道下裂症例61例, 及び male hermaphrodism 28例の計89例につきレ線学的に後部尿道の形態を中心に比較し, 両疾患の境界点を検討した. 検討内容は, 両疾患における vaginal rest の合併頻度 vaginal rest の大きさ及びその後部尿道への開口部の位置である. 又, 併せて先天奇形やIVPの異常頻度も検討した. 結果は, 以下の如くであった.
(1) Vaginal rest の合併頻度は glandular 25%, penile 29%, penoscrotal 43%, scrotal 71%, perineal 100%で尿道下裂と male hermaphrodism 全体では, 84%であり下裂の程度が高度になるにつれ, 合併頻度も高い傾向にあった.
(2) 停留睾丸の合併は, 尿道下裂41%, male hermaphrodism で85.7%であった.
(3) IVPの異常は, 尿道下裂21.4%, male hermaphrodism で21.4%であった.
(4) Vainal restの大きさを後部尿道の長さに対する相対比で比較してみると, 尿道下裂では, 後部尿道に対して2/3以下であるのに対して, male hermaphrodism では2/3以上であった.
(5) Vaginal rest の後部尿道への開口部の位置を検討してみると, 尿道下裂では, 正常の vermontanum に開口していたのに対して, male hermaphrodim では, 外括約筋へ近づいて開口している結果であった.
以上の結果より, 尿道下裂を male hermaphrodism と臨床上, 区別するとすれば, vaginal rest の大きさが後部尿道の長さに対して2/3以下であり, vaginal rest が正常の vermontanum に開口することが, 一応の鑑別点になると考えられる.

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