日本泌尿器科學會雑誌
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Print ISSN : 0021-5287
腎移植自験例の臨床成績
阿曽 佳郎田島 惇鈴木 和雄太田原 佳久太田 信隆大見 嘉郎畑 昌宏増田 宏昭牛山 知己中野 優
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1985 年 76 巻 5 号 p. 649-657

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抄録

1) 浜松医科大学泌尿器科では, 1979年11月から, 1984年5月末までの4年半で, 生体腎移植33回, 死体腎移植27回, 計60回の腎移植をおこなった.
2) 生体腎移植の1年生存率, 1年生着率はそれぞれ89.7%, 79.9%であった. しかし, LD1からLD9までの初期の症例と, 主としてステロイドを減量し, アザチオプリンに替えて mizoribine を用いて, 術前リンパ球除去を施行したLD10以降の症例を比較すると, 1年生着率において, 55.6%から95.2%へ向上がみられた.
3) 死体腎移植27回のうち, 13回が米国輸入腎, 14回が国内死体腎によるものであった. 死体腎移植の1年生存率, 1年生着率はそれぞれ72.0%, 53.7%であった. また, 米国輸入腎と国内死体腎を比較すると, 1年生着率で, 米国輸入腎37.8%, 国内死体腎75.0%であった.
4) 合併症では, 特に間質性肺炎が致命的であった. 急性尿細管壊死期間中のステロイド増量が致命的合併症の発症に関与していると考えられた.

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