日本泌尿器科學會雑誌
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浸潤性膀胱癌の予後因子の検討
松岡 啓植田 省吾中村 芳文中山 実小林 政次大薮 裕司宮崎 文男野田 進士江藤 耕作
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1985 年 76 巻 5 号 p. 723-733

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抄録

浸潤性膀胱癌における予後因子と, その重要度を明らかにする目的で, pT 2以上の106例について, 泌尿器科・病理膀胱癌取り扱い規約に従い再検討した. まず各因子毎の生存率を算出し, 生存曲線にて評価した. なお生存率は, Kaplan-Meier 法, 生存率曲線は, generalized Wilcoxon test を用いて群間比較を行なった. この方法で予後との関連性を認めた因子は, 増殖様式, 大きさ, 深達度, 異型度, 壁内リンパ管侵襲, 壁内静脈侵襲, 浸潤増殖様式であった.
次に深達度 (pT), 異型度 (G), 壁内リンパ管侵襲 (ly), 壁内静脈侵襲 (v), 浸潤増殖様式 (INF) について, 多変量解析を用い予後因子の重要度について分析した. 生存月数によく相関した因子は, INFで次にpTであった. また従来予後因子として重要視されてきたpTにはv, Gが相関した.
さらに, これら5因子による推定生存月数 (M) は, M=58.1384-6.9006(pT)+9.8769(G)+3.1088(ly)+5.4930(v)-18.6684(INF) で求められ, 重相関係数Rは0.7652, F値は4.8047で有意であり妥当な式と考える.

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