1986 年 77 巻 11 号 p. 1790-1795
ヒト膀胱癌由来の細胞を長期間にわたり継代培養した. 培養した組織は病理組織学的には, grade 3, pT3bの未分化細胞癌であった. 膀胱全摘除術を施行したが, 術後2週目に肺転移をきたし, CDDP, ADM, 5-FUなどの強力な化学療法にもかかわらず術後4週目に皮膚転移を認め, 6週目に癌死した.
初代培養より16ヵ月, 88継代を重ね細胞株として樹立されたと考えられ, YTS-1と命名した.
YTS-1はヌードマウス異種移植で腫瘍を形成し, 病理組織学的には原発の膀胱癌と同じ未分化細胞癌であった.
初代培養における染色体分析では46と80前後にピークを認める二峰性のヒストグラムを示したが, 第65継代及び第83継代の染色体分析では80~81に mode を認めた.
倍加時間は継代中変化なく20.2~22.5時間であり, コロニー形成率は100個当たり89.6±4.7であった.