1987 年 78 巻 8 号 p. 1337-1344
経皮的腎尿管切石術 (PNL) の腎に及ぼす影響を検討するため, 当科で経験した56例60腎を対象として, PNL前後における腎機能評価を行った.
腎機能評価法として, 分離尿中のNAG, BMGの定量やクリアランステスト, RI-dynamic study, 腎動脈撮影等を施行した.
術前後の尿中NAG, BMG及び分腎Ccrの推移より, PNL後6時間までに可逆性の糸球体ならびに尿細管障害が招来され, この変化は12時間から1週間にて回復することが示唆された.
またRI-dynamic study において術後1~2カ月の遷延性障害は認められなかった.
水腎を伴った閉塞性結石例は, PNL後の腎機能回復が認められた.
腎動脈撮影より, PNLによる主要な血管系への変化は認められなかった.
以上より, 比較的短期間の検討であるが, PNLは腎機能に対して重大な影響を与えることなく安全な方法であると考えられる.