1988 年 79 巻 1 号 p. 143-149
ヒト膀胱癌培養株T24を用い, cisplatin (CDDP), methotrexate (MTX), vinblastine (VLB), adriamycin (ADM) について subrenal capsule assay (SRC法), ヌードマウス皮下移植法, human tumor clonogenic assay (HTCA) の各制癌剤感受性試験を行い, 各々を比較検討した. 各々の assay において, 有効と判定された薬剤は, SRC法ではVLB, ヌードマウス皮下移植法ではVLBとADM, HTCAでは有効薬剤はなかった. HTCAにおいて, 薬剤の判定基準濃度を上げることによりADMが有効となり, 薬剤の接触様式を持続接触とすることによりVLBが有効となった. MTXは in vivo assay においても, HTCAにて条件を変化させても有効とならなかった. 以上のことから, 1) in vivo assay においては, 臨床的な薬剤濃度をマウスにおいて設定しなおすこと, 2) HTCAにおいては, 各薬剤の pharmacokinitics, 作用機序をふまえ, 薬剤別に条件設定することなどの必要性が示唆された. またSRC法はヌードマウス皮下移植法とよく相関し, 種々の問題は残されてはいるが, 従来の in vivo assay にまさる点が多く, 臨床応用に有望な in vivo assay と思われた.