日本泌尿器科學會雑誌
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経皮的腎尿管結石摘出術の腎機能への影響について
3分割腎シンチグラフィーおよびダイナミックCTによる検討
千葉 裕折笠 精一
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1988 年 79 巻 11 号 p. 1751-1760

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抄録

PNL後1年間の経過観察が可能であった, 39症例41腎に, 99mTc-DMSA 3分割腎シンチグラフィーを, また15症例17腎に対してダイナミックCTを施行し, PNLの腎実質へ与える局所的障害について検討を行った.
1) 腎瘻挿入部の局所的腎実質障害は, 3分割腎シンチグラフィーで検討すると, PNL後6カ月にはほとんど回復を認めたが, 41腎中17腎 (41%) に, PNL後の腎シンチグラムで低吸収域の残存を認めた.
2) 特に腎シンチグラムで低吸収域の著明であった症例の, ダイナミックCTでは, 腎瘻挿入部周辺に, 皮質血流量の著しく低下した, 幅5~10mmの線状ないしびまん性の低濃度域や, 腎実質の硬化様変形を認めた. このような腎実質の強い変化は, 腎後壁に認められることが多く, 腎動脈後枝の比較的太い枝の損傷が, 原因として考えられた. しかし, これら腎シンチグラムで低吸収域の著明であった症例の, DMSA腎摂取率からみた分腎機能の経過は, 特に大きな低下を認めなかった.
PNLを, さらに腎機能への影響の少ない方法として確立していくためには, 腎瘻の挿入ルートを解剖学的に再度検討し, 腎血管損傷の危険のないものとし, また腎実質の局所挫滅をできるだけ少なくしていくため, さらに現在より細い腎瘻から, 結石を破砕摘出できるような装置の開発が急務と考えられた.

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