日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
Hydroxypropylcellulosum を用いた peplomycin 膀胱内注入療法
薬物動態解析による評価
安本 亮二浅川 正純尾崎 祐吉堀井 明範梅田 優田中 重人森 勝志西島 高明山口 哲男川喜多 順二西尾 正一前川 正信
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1988 年 79 巻 11 号 p. 1765-1768

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抄録

最終濃度3,000μg/mlになるように作成したHPC-PEPを8例に, Saline-PEPを3例に投与し, 両群における, 1) 尿中PEP濃度の経時的推移, 2) PEPの血液内への移行, さらに, 3) 尿中PEP濃度を用いた薬物動態力学的パラメーターの違いを検討した.
HPC-PEP法では, 尿中PEPの時間的推移は投与後6時間後では61.0μg/ml (15~90μg/ml), 12時間後では16.4μg/ml (0.09~73μg/ml), 1日目では18.3μg/ml (0.3~105μg/ml), 2日目では13.1μg/ml (0.24~50μg/ml), 3日目では6.25μg/ml (0.07~53μg/ml), 4日目以降は平均値0.03μg/ml以下でいずれも測定限界以下であった. 一方, Saline-PEPを膀胱内へ注入した場合, 投与後3時間後では0.05μg/ml (0.04~0.06μg/ml) を示したが, それ以降3日目まですべて測定限界値以下であった. 薬物動態力学理論で解析すると, Saline-PEP法では半減期が平均4.18時間であるのに対し, HPC-PEP法では平均51.0時間と有意に延長しており, PEPの膀胱内での貯留性が示唆された. 以上より, HPC-PEPの膀胱内注入療法は薬物動態の検討より, 従来の Saline-PEP法より優れている臨床的に有用な膀胱内注入療法と考える.

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