1988 年 79 巻 12 号 p. 1991-1995
当科に於て膀胱全摘出術および両側尿管S状結腸吻合術を施行後5年以上経過した10症例に大腸ファイバーを行った. 患者は全例膀胱腫瘍の男性. 尿管S状結腸吻合時の年齢は平均58.7歳. 尿管S状吻合の期間は平均8.8年であった。肛門歯状線より平均17.6cmのところに10名13部位の尿管開口部を確認した. その形態は9名10部位ではポリープ様, 2名3部位では平坦であった. 1名の患者 (10%) に肛門歯状線直上の腺癌と両側尿管吻合部の間の腺腫を発見した. 全例で尿管吻合部周囲の肉眼的に正常な結腸粘膜の生検を行ったが, 組織学的には軽度の炎症所見が見られるのみであった. また3名でポリープ様の尿管吻合部の生検を施行したが肉芽組織および軽度の炎症所見であった.