Japanese Journal of Visual Science
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2022 Volume 43 Issue 3 Pages 85

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European Conference on Visual Perception(ECVP)は,主に視覚科学,心理学,神経科学,生物学,コンピュータビジョンなど,科学の分野を問わず,視覚に関する様々な分野の研究を発表する文理融合,学際的な学会です。例年,ヨーロッパ,北米,アジア太平洋地域から700名から900名程度の参加者があり,ECVPはこの視覚系関連分野で最大の国際会議の1つとして知られています。毎年,ヨーロッパの異なる場所に移動する巡回型の会議形式をとっています。会議は通常,講演とポスターセッションで構成され,抄録は査読され採択されれば,Perception誌に掲載されます。2021年8月22日から27日までの間,開催された第43回大会はCovid-19の流行が続いているため会議はすべてオンラインで行われました。私のラボでは初めての国際学会でのオンライン参加でした。特に第一著者である大学院生2名はCovid-19の流行のため,初めての学会発表がオンラインでの国際学会での発表となり,若干緊張していました。

発表者はポスターとslackを用いて発表をします。学会期間中,参加者はいつでもポスターを見ることができ,かつslackで質問をすることができます。これは特に参加者が異なるタイムゾーンにいる国際学会ではとても便利だと感じました。発表者はポスターを準備することに加えて希望すればPoster Tour videoというビデオを提供することができます。時間は約4分間から7分間程度の短いものでポスター発表を口頭で補足した内容です。参加者はslackからこのビデオへアクセスできます。このビデオによってポスターをより簡単に理解することができるので,とても良いと思いました。私のラボでは大学院生にこの英語のビデオを作成してもらいましたが,思った以上に良い出来でした。カメラの前で試行錯誤しながら何回も英語の発表練習をしたようです。もしかすると学生の方がこのようなコミュニケーションに長けているのかもしれません。普通に対面で英語のポスター発表をするよりもこちらの方がわかりやすかったかもしれません。

発表や質疑応答では下記2つの方法が提供されていました。

1.Live interactive discussion

この方法では発表者はポスターとあらかじめ準備しておいたビデオ,およびslackを用いて責任時間に発表をします。ポスター画面を共有しながら発表ができます。発表者と質問者は責任時間にビデオやチャットを使ってリアルタイムのコミュニケーションがとれます。私達の発表では,あらかじめ準備しておいたビデオを見てくれていたお陰か,通常の学会でのポスター発表よりも深いディスカッションができました。

2.Asynchronous text discussion

2つ目の方法は,Asynchronous text discussion(非同期テキスト討論)と呼ばれている方法です。slackのチャネルに質問者がいろいろな質問をします。質問者も発表者もslackを用いて都合のよいときにディスカッションすることができます。この学会では発表後2日間程度はいろいろな人と幾度となくディスカッションをしました。テキストベースでの質問ですので言語による壁がほとんどなく,また,特に質問者とタイムゾーンが異なる場合は負荷があまりないのでとても便利だと感じました。

大会の発表をいろいろな方法で検索できたのも便利でした。ECVPに登録している人は,Slackのワークスペースにログインしていればポスターへのリンクや,キーワードを使った検索などslackの機能をいろいろ便利に使えます。他にもReceptionにアバターを使ったgather townで実施する等,いろいろと工夫されている学会だと感じました。

以上,初めてのオンライン国際会議への参加でしたが,いろいろと勉強になりました。もちろんCOVID-19の流行はいろいろとデメリットがありますが,このような状況下でも得られることはたくさんあると感じました。今年度はオランダのNijmegenで開催されるとのことです。学会の今後の発展を期待しています。

 
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