主催: 一般社団法人日本物理学会
会議名: 2016年度日本物理学会秋季大会
開催日: 2016/09/13 - 2016/09/24
本研究ではディラック電子系MoS2の類似物質NiTe2でディラック電子出現の可能性を研究するため、単結晶を育成し磁気抵抗(MR)の測定を行った。EDXの分析の結果、育成した複数の単結晶は試料内部でNiとTeの組成比に分布があった。MRの振る舞いには試料依存性があり、幾つかの試料の低温で磁場に比例したMR(7Tで約30%)を観測した。このMRの大きさと残留抵抗比には相関があること、また組成比とMRの大きさには相関があることが判明した。この異常な磁場依存性を示す磁気抵抗の結果は、ディラック電子の出現を示唆するものである、と言える。今回観測した巨大なMRとその特異な磁場依存性は、本系でディラック電子が出現していることを示唆している。