体育・スポーツ哲学研究
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陸上競技の哲学的研究
秋吉 嘉範
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1986 年 8 巻 p. 65-70

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抄録

陸上競技の哲学的研究の一環として, 陸上競技を存在論的視点・認識論的視点及び価値的視点から考察したものである。
1. 存在論的視点では陸上競技が人間の生存構造にいかに重要な意味をもちうるかを明らかにした。その内容は陸上競技と人間存在に焦点をしぼり, プラグマティズム (デューイ, J.) の立場からと, 実存主義 (サルトル), 及び遊戯の存在論 (フィンク) の立場から考察, 論述したものである。すなわち, いずれの論理も人間の主体性を論じ, 人間の主体性回復と人間存在の充実を希求する行動と思考しているようである。
2. 認識論的視点では, 陸上競技の認識を知覚・意志・思考・感情などの側面をふまえて, 考察したものである。その内容は, 陸上競技における, 持久性・意志力・競争性・心身の耐性・快楽性をとりあげ, 種目内容との関係を明らかにしたものである。また創造的思考を必要とする競技として, 競技者の思考・工夫が記録向上に直結すると考えられる。
3. 価値的視点
陸上競技の価値視点として規範を中心に明らかにしたものである。とくに法規範としての競技規則の内容にふれ, 競技場や競技用器材などの変革が競技に及ぼす影響を考察したものである。一方, 道徳・習慣・伝統などの規範が競技者に及ぼす影響を論述したものである。また, 陸上競技をする人の価値感により価値志向が異なることを明らかにした。

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