日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第93回日本薬理学会年会
セッションID: 93_2-S26-2
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シンポジウム
Ym1陽性単球による炎症調節と組織修復
*浅野 謙一菊池 健太池田 直輝田中 正人
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キーワード: monocyte, immunosuppression, colon
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抄録

急性炎症は、病原性異物の排除に必須の防御反応である。しかし、行き過ぎた炎症は2次的な組織傷害の原因となるため、炎症の原因除去後は遷延することのないよう、厳密に制御されている。組織に常在するマクロファージは、周囲環境に応答して柔軟にその形質を変化させることで、炎症の促進から収束への転換に寄与する。組織の常在構成員に加え、炎症の回復期には、組織外から派遣される免疫調節細胞の存在も想定されていたが、そのような細胞の実体は分かっていなかった。

 我々は、定常状態や、炎症急性期にはほとんど存在しないが、炎症後期に骨髄で急激に増加し、炎症局所に移動するYm1陽性単球を発見した。この単球は、炎症調節型のサイトカイン産生パターンを示し、炎症で傷ついた組織の修復を促進することが分かった。この知見は、組織傷害時には、末梢組織から骨髄に向けて何らかのメッセージが発信され、それに応答して産生されるYm1陽性単球が、組織に動員されて恒常性維持に寄与することを示唆する。本講演では、我々によって新たに同定されたYm1陽性単球の機能と、炎症における役割について解説する。

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© 2020 本論文著者
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