日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第94回日本薬理学会年会
セッションID: 94_2-EL
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教育講演
急性骨髄性白血病に対する新規FLT3阻害薬ギルテリチニブの創薬
*黒光 貞夫
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抄録

急性骨髄性白血病 (Acute Myeloid Leukemia: AML)は未熟な造血幹細胞または前駆細胞のクローン性増殖を特徴とする血液がんの一つである。AMLにおいて最も高頻度に認められる遺伝子変異としてFms-like tyrosine kinase 3 (FLT3)遺伝子の変異(遺伝子内縦列重複変異とチロシンキナーゼドメイン変異)が知られている。変異型FLT3はリガンド非依存的に恒常的活性化しており、異常増殖の原因になっている。ギルテリチニブはALK阻害剤研究の中で合成された化合物であり、その創薬研究の過程でFLT3阻害作用が見出されたことからFLT3変異陽性AML患者を適応疾患として研究開発された。本薬は国際共同第III相試験によってFLT3変異陽性患者に対する治療効果が立証され、一昨年、日本及び米国において「再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を適応として世界で初めて承認された。本発表ではAMLの病態、AMLにおけるFLT3の役割、ギルテリチニブの非臨床データなどについて紹介する。

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© 2021 本論文著者
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