主催: 公益社団法人日本薬理学会
会議名: 第95回日本薬理学会年会
回次: 95
開催地: Fukuoka
開催日: 2022/03/07 - 2022/03/09
近年、さまざまな分野でP2受容体(P2Rs)の重要性が高まっているが、今回は痛みの研究に焦点を当ててお話しする。慢性的な痛みは、末梢組織の炎症や神経損傷の後にしばしば発生する。特に神経障害性疼痛は、臨床的に有効な薬剤がほとんどないため、重大な臨床的問題となっている。そこで、一次求心性ニューロンのP2X3RとP2X2/3R、脊髄ミクログリアのP2X4R、P2X7R、P2Y12Rを介したATPシグナル伝達の慢性疼痛における役割に関して議論する。さらに、多くの発見により、P2Rsを標的とする新薬の探索が大幅に加速し、これまでにいくつかの化合物が世界で開発されてきたので紹介する。Gefapixantは、難治性の慢性咳嗽として臨床試験を終了した唯一のP2X3R拮抗薬であり承認申請されており、現在は子宮内膜症に関連する痛みの臨床試験が行われている。NP-1815-PXおよびNC-2600は、最近、日本で新規のP2X4Rアンタゴニストとして同定された。NC-2600は、深刻な副作用なしに第I相試験を終了した。このような状況を考えると私たちが痛みに対する新薬を手に入れるも間近と思われる。