日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第96回日本薬理学会年会
セッションID: 96_2-B-SL03
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特別講演
可視化で探るカルシウムシグナル
*飯野 正光
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抄録

細胞内Ca2+濃度上昇は細胞内シグナルとして極めて広範な役割を果たしている。Ca2+シグナルは、細胞膜のCa2+チャネルを介した細胞外からのCa2+流入と、細胞内ストア(小胞体)からの2種類のCa2+放出チャネル(IP3受容体とリアノジン受容体)を介して形成され、その原型は既に原生生物に見ることができる。Ca2+シグナルは、興奮性細胞の活動電位に伴う素早い細胞内応答(収縮、神経伝達物質放出など)を制御する。一方、免疫応答や血圧制御など時間経過の長い反応をCa2+イメージングで観測すると、上昇と下降を繰り返すCa2+オシレーションが見られる。このような応答は、持続的なCa2+濃度上昇を避け、かつ効率的に信号を作り出すメカニズムと考えられる。Ca2+シグナルは、全ての細胞種で細胞機能を制御していると言っても過言ではない。これは、Ca2+シグナルを切り口として未知の細胞機能を理解する手がかりを得ることができることを示している。これを応用し、可視化法を用いながらさまざまな生理機能が解析されており、薬理学への応用も期待される。本講演では、このような取り組みについて紹介したい。

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© 2022 本論文著者
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