日本薬理学会年会要旨集
Online ISSN : 2435-4953
第97回日本薬理学会年会
セッションID: 97_2-B-SL13
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特別講演
人工知能とゲノム情報を活用する個別化先制医療の実現
*萩原 正敏
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抄録

我々はこれまで、RNAスプライシングパターンの変化を生体内で可視化する独自の技術を開発し (Nature Methods 2006)、このスプライシングレポーターを使って異常RNAスプライシングを是正できる化合物を探索する独創的創薬戦略によって、家族性自律神経失調症 (Proc Natl Acad Sci 2015, Nature Commun 2021)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー (Nat Commun 2011)、嚢胞性線維症 (Cell Chem Biol 2020)、QT延長症候群などに対し、有効な治療薬候補化合物を見出すことに成功している。また、これらのスプライシング制御化合物で、がん細胞内のスプライシング環境にバイアスを与えることによって、スプライスネオ抗原を人工的に産生誘導出来ることを報告した(Science Transl Med,2022、PCT/JP 2021-144961)。スプラシング異常に起因する遺伝性疾患保因者に対し、我々が開発してきたスプライシング制御化合物により治療可能な対象者をゲノム情報からAIにより選択する技術を確立することによって、遺伝病や遺伝性がんの個別化に道を拓ける可能性がある。

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© 2023 本論文著者
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