Proceedings for Annual Meeting of The Japanese Pharmacological Society
Online ISSN : 2435-4953
The 97th Annual Meeting of the Japanese Pharmacological Society
Session ID : 97_3-B-S46-4
Conference information

Symposium
Development of a Novel Antibody Drug to Regenerate Missing Teeth in Patients with Congenital Tooth Agenesis, a Rare Disease -Toward Industrialization of Research Seeds-
*Katsu Takahashi
Author information
CONFERENCE PROCEEDINGS OPEN ACCESS

Details
Abstract

先天性無歯症は、通常6本以上の歯の欠如を認める症例が遺伝性とされ、その発症頻度は全人口の0.1%と報告されている。先天性無歯症の原因遺伝子としては、EDA1、MSX1、WNT10A、 PAX9、RUNX2等が同定され、その多くの原因遺伝子がマウスとヒトで共通である。先天性無歯症患者は、顎骨の発達期である幼少期から無歯症となるため、義歯や歯科インプラントの適応が困難である。また、成長期にオーラルフレイルの状態となり、栄養確保や成長に悪影響を及ぼす。既存治療としては、成人以降に義歯や歯科インプラントによる人工歯を用いた代替治療を施行するしかなく、根治的な治療として歯の再生治療の開発が強く望まれていた。これまで組織工学的な手法による歯の再生研究が数多く試みられてきたが、細胞リソース、コストや安全性などの問題で臨床応用までには至っていない。我々は、USAG-1タンパク(BMP / Wntのアンタゴニスト)の遺伝子欠損マウスにおいて、過剰歯を形成することを見出し、1種類のタンパク分子により歯の数を増やすことができることを明らかにした。また、各種先天性無歯症モデルマウスと過剰歯モデルマウスのUSAG-1遺伝子欠損マウスの交配により、歯の形成が回復することを見出した。AMED創薬支援推進事業、難治性実用化研究事業、京都大学GAPファンド、インキュベーションプログラムのご支援のもと中和抗体、siRNAを作製した。USAG-1はBMP/Wntシグナルのアンタゴニストであり、その機能ドメインが異なるため、その中和抗体は、BMP、WNTシグナルをそれぞれ活性化するまた両者を同時に活性化する3種類に分類された。それらの抗体のBMP、WNT signaling に対する活性化様式の違い、抗原認識部位の違いを考慮して、5個の中和抗体に絞り込み知財を取得した。その知財をもとに、研究成果活用事業として2020年5月にトレジェムバイオファーマ株式会社を設立した。USAG-1蛋白は、ヒト、マウス、ビーグル犬等の異種動物間で97%の高いアミノ酸相同性を有している。そのため、マウス抗USAG-1抗体は、先天性無歯症モデルマウス・ビーグル犬において単回腹腔内投与/静脈内投与にて欠損歯を回復できることを明らかにした。in vitro/in vivo活性、予備毒性試験より、ヒト抗USAG-1抗体の最終開発候補物TRG035を決定した。PMDA RS戦略相談対面助言にて非臨床試験の項目を確定した。トレジェムバイオファーマ株式会社、AMEDとの産官学連携を積極的推進することで、医師主導治験をすすめて行く予定としている。TRG035を先天性無歯症患者の治療薬として、有効性安全性を確立し、臨床応用への道筋をつけることを目指す。

Content from these authors
© 2023 The Authors(s)
Previous article Next article
feedback
Top