復興農学会誌
Online ISSN : 2758-1160
原著論文
発災10 年後の被災地域における農業経営者の意識
半杭 真一 渋谷 往男
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2022 年 2 巻 2 号 p. 12-27

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抄録

東日本大震災と原子力災害から 10 年後の被災地における農業経営者の意識について,質問紙法による大規模な調査を実施した。販売農家327 名から得られた回答の集計から,経営における今後の見通しについては,5 年以内に維持または拡大を希望する農業者の割合は約70%であるが,その割合は10年後に45%に低下し,逆に縮小・離農を志向する者の割合は5 年以内16%10 年後にはほぼ2 倍の33%になることが明らかになった。 拡大意向を示している経営は,水稲に大豆や野菜を組み合わせた類型が多い。また,経営の拡大については,部門や品目よりも,面積や出荷量の拡大が多く,「垂直的拡大」は少ないことが明らかになった。これらについては,経営上の課題における「継承」因子が影響していた。

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