本稿は,退職後に福島県飯舘村で稲作に取り組んだ一農学研究者の体験を記録したものである。田んぼつ くりから水管理や雑草防除など,これまで研究室では十分に経験することのなかった実践に直面し,試行錯誤を 繰り返す中で,農業の難しさと面白さを改めて実感した。その過程で,現場の知恵や地域の経験から学ぶことの 重要性を再認識するとともに,農学は現場との往復の中で発展する学問であることを強く感じた。本稿では,思 い付きで始めた稲作体験を通して得られた気づきを紹介するとともに,農業と地域,そして農学との関わりにつ いて考える契機を提供したい