Journal of Regional Emergency and Disaster Medicine Research
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原著
サウナ浴による軽度熱中症者における経口補水液の水・電解質補給効果
―ミネラルウォータとの比較―
田淵 英一 大坪 幸代若杉 雅浩奥寺 敬
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 18 巻 p. 3-13

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抄録
 背景と目的:GF13001は,50 mEq/L Na+,20 mEq/L K+,50 mEq/L CI-,100mmol/Lブドウ糖を含む経口補水液である。迅速な水分補給は,熱中症における高熱および脱水の回復に最も大切な治療法の一つである。本研究では,GF13001により,水と電解質が熱中症者体内に適切に吸収されるか,熱中症症状が改善されるかを評価した。方法:健常人ボランティア25人(男性17名,女性8名)を用いたサウナ浴(58.8~67.9℃,WBGT値)10分間+休憩5分間の連続3回繰返しによる熱中症モデルを対象に,無作為に1,OOOmLのGF13001またはミネラルウォーター(MW)をサウナ浴後に摂取させ,生物医学的変化(体重,血圧,尿検査値など)を2群間で比較した。結果:サウナ浴による熱中症発症により体温および脈拍は上昇し,体重および血圧は低下した。F13001 1,000mLの摂取により摂取2時間後には回復した。飲用後~2時間の自己問診の変化は,F13001群とMW群間で差は認めなかった。また,熱中症発症により,尿量は減少し,尿浸透圧および尿電解質(Na,K,Cl)濃度は上昇した。GF13001群では飲料水摂取2時間後に生じた尿量増加,尿浸透圧低下,尿電解質低下が有意に改善された。考察:GF13001群はMW群と比較し,摂取2時間後の尿量や尿中電解質排泄量が少ないことより,熱中症者の体内に水と電解質がより長く保持されていることが示唆された。本結果は,GF13001がWHO提唱の経口補水理論に準じた組成であることを裏付けている。以上より,GF13001は,中症,激しいトレーニング,過度の運動等による脱水症の予防・改善に適する経口補水液であることが示唆された。
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© 2019 日本災害医療教育研修協会
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