抄録
症例は70歳代の女性, 脳出血発症後10ヶ月経過. CTにて左半球の中心後回から中心前回(中心領域)にかけての皮質および皮質下に病巣を有し, それに起因した肢節運動失行を呈していた. その他, 軽度の表在覚・深部知覚の低下, および触覚定位, 形の識別, 素材の識別・皮膚書字覚に障害が認められた. 15分間のMirror Therapy(MT)実施直後は「動かしやすい」との内観と, 手指の運動機能と触覚の改善が認められた. しかし, これらの改善点は20分後の検査時点では減弱していた. MTの効果の持続性についてはさらに多様な症例を重ね検討する必要があるとともに, 本例のような場合, MT介入後に連続した課題を介在するなどの工夫が必要と考えられた.