日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: GP-4
会議情報

非電離放射線
温熱感受性、温熱耐性に及ぼすDNA二重鎖切断修復の関与について
*島崎 達也荒木 正健井原 誠白石 善興後藤 久美子古嶋 昭博岡田 誠治
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
 ヒトを含め、哺乳類細胞は、DNA二本鎖切断(DSB)を修復するために、少なくとも2つの経路を持つことが知られている。その1つは、全ての細胞周期で働く非相同末端再結合(NHEJ)で、もう1つがS期中盤以降からG2期に有効に働く相同組換え(HR)である。我々はNHEJが欠損している細胞であるScid細胞が温熱感受性を示すことを見いだし、DSB修復と温熱感受性に関連があること示唆した。Scid細胞と温熱感受性が正常レベルまで回復したハイブリッド細胞は、それらの遺伝的背景がNHEJ経路を除いて同一であるので、DSB修復と温熱感受性、さらには温熱耐性誘導の研究に理想的な細胞である。  細胞は、44℃で0-60分間温熱処理した。温熱耐性とDSBの関係を明らかにするために、細胞は、44℃、15分間の温熱前処理、それから37℃で2-6時間CO2インキューベータ内で培養を行った後に、再度44℃で温熱処理を行った。温熱処理によって細胞核内に誘発されるDNA二本鎖切断は免疫染色を行いγH2AXフォーカス形成を観察することで求めた。温熱処理後、細胞核内にリン酸化されたヒストン2AX(γH2AX)のフォーカスが形成する。γH2AXは、DSB修復タンパク質群のための足場を提供するものと考えられ、わずか数分のうちにDSBが生じた場所の周辺でセリン139の位置でH2AXがリン酸化される。この分析方法は、DSBを非常に感度よく検出でき、また、特定のインジケータであることが知られている。免疫染色した細胞の写真は、蛍光顕微鏡を用いてコンピュータに画像を取り込み解析を行った。  Scid細胞とハイブリッド細胞は44℃で温熱処理したとき、処理時間とともにγH2AXフォーカスが直線的に増加することを確認した。Scid細胞のγH2AXフォーカスの数とハイブリッドscid細胞とを比較すると、明らかに違いが見られた。γH2AXフォーカスの数と温度感受性の間に相関関係が見られた。また、温熱耐性においても同様の傾向が認められた。したがって、細胞の温熱感受性、温熱耐性にDNA二重鎖切断の生成とその修復とが密接に関連していることが分かった。
著者関連情報
© 2008 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top