日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P2-101
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放射線応答・シグナル伝達
C. elegansの運動に対する放射線影響の定量評価
*鈴木 芳代服部 佑哉坂下 哲哉菊地 正博舟山 知夫横田 裕一郎辻 敏夫小林 泰彦
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キーワード: 放射線応答, 行動, 定量解析
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抄録
神経系のモデル生物である線虫C. elegansに、ガンマ線(< 1000 Gy)を照射すると、線量に依存して運動が低下する [1], [2]。従来より、線虫の運動性の評価には、20秒あたりの頭部の屈曲回数(Body bends)[3]が用いられており、照射線虫の評価も非照射線虫に準じてBody bends を指標として行われてきた [1], [2]。しかし、体幹後部のくねりが緩くなり、移動の範囲が非照射線虫に比べて狭くなるなど、照射線虫に観られる全身的な運動の微妙な変化は、Body bends では評価できなかった。そこで、本研究では、放射線の運動への影響をより詳細に理解することを目的として、照射直後の線虫の動画像から、全身17点(頭部から尾部までを均等に16分割)の座標を導出し、全身の動きを詳細に捉える新たな方法を提案した。本手法により、これまでは評価できていなかった頭部-尾部間の距離や体幹のくねりの振幅、運動速度の変化等に基づく放射線影響の詳細かつ定量的な評価が可能となった。本発表では、放射線照射線虫の運動を新旧2つの方法によって評価した結果を示し、線虫における放射線生体影響をよりよく評価するための指標の重要性について議論する。[1] Sakashita, T., et al. (2008) J. Radiat. Res. 49: 285-291. [2] Suzuki, M., et al. (2009) J. Radiat. Res. 50:119-125. [3] Sawin, E.R., et al. (2000) Neuron 26: 619-631.
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© 2009 日本放射線影響学会
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