日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P3-142
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放射線物理・化学
焦電結晶による小型放射線源の開発
―温度傾斜率による電流特性の検討―
*山本 祐紀花元 克巳迫田 晃弘川辺 睦片岡 隆浩山岡 聖典
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抄録
【目的】焦電結晶は温度変化により自然分極が変化し、表面が帯電するという物質である。この結晶を利用すると高エネルギー電子を得ることができる。よって、これまでの放射線発生装置とは違い、高電圧電源が不要で非常に軽量化された放射線発生装置をつくることが可能となる。これまでに、この焦電結晶を用いて放射線の発生に関する研究が行われてきたが、制御に対する基礎的なデータは調べられていない。そこで、我々はまず、電子線に関する基礎的なデータを調べるために時間に対する温度変化(以下、温度傾斜率とする)と圧力をパラメータにして、焦電結晶から放出された電荷量を測定した。
【方法】焦電結晶には、10(mm)×10(mm)×0.5(mm)の大きさのLiTaO3を用い、抵抗値が78(Ω)のヒーターを用いてヒーター電流を0.2、0.3、0.4(A)と変えることで、温度を室温から約70(°C)まで変化させ、温度傾斜率を0.4~1.5(K/s)まで変化させた。また、圧力もロータリーポンプを用いて、15、20、25(Pa)の3段階に分けて、それぞれ、温度傾斜率を変化させたときの放出された電荷量を30秒間測定し、これを3回行った。
【結果】圧力が20(Pa)において温度傾斜率の平均が0.4、0.9、1.5(K/s)のとき、放出された電荷量の平均はそれぞれ73.0、258.6、493.9(nC)となり、温度傾斜率が大きいときに単位あたりに放出される電荷量も大きいことがわかった。また、温度傾斜率が1.5(K/s)において圧力が15、20、25Paのとき放出された電荷量はそれぞれ156.7、493.9、492.3(nC)となり、圧力による違いは20(Pa)と25(Pa)とではあまり差はなく、20、25(Pa)と15(Pa)とでは放出される電荷量に大きな差があった。よって、圧力が低すぎると電子が放出されにくいことがわかった。
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© 2009 日本放射線影響学会
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