抄録
放射線による電離イベントはLETの増加とともに個々の発生間隔が短くなり、適当なLETの放射線ではDNAの直径(2 nm)にほぼ等しい間隔で電離が起こり効率良くDNA二本鎖切断(DSB)が生成するため、高い生物効果が生じると考えられる。この考え方にたてば、LET増加に伴いDSB生成量は増加していくことになり、実際そのような報告も多くみられる。一方、それとは逆にLET増加に伴いDSB生成量が減少する傾向を示した報告も多い。このDSB生成におけるLET依存性の相違は古くから議論されているが、未だ解決されていない放射線生物学上の重要課題である。本ワークショップではDSB生成収率のLET依存性について、実験に用いた線質や試料、検出方法など実験条件の違いによる影響について検討を行い、フロアー壇上一体となって議論したい。