抄録
基礎研究者の中で、どれだけの人間が自分の5年後を予想しているだろうか?1年後の自分のキャリアですら、はっきりしない人間がどれほど存在するだろうか?私がアメリカに留学を決めた当時、自分がいったい何年間アメリカで研究を続けるか、そして、その後どういった進路をとるか、そういった将来構想のようなものは、はっきりいって皆無であった。それは、無鉄砲とかいう性格的なもの以上に、将来構想を立てるための材料がほとんど存在しなかったからである。アメリカ国立衛生研究所での7年間の研究生活ののち、アメリカ永住権を獲得しながらも、日本への就職を決めた私の経歴を参考に、海外留学を経験してどのようなキャリアデザインが考えられるかお話したい。