2007 年 2007 巻 KST-02 号 p. 01-
日本の製造業においては,生産拠点の海外移転による産業の空洞化や熟練技能者の退職による2007年問題など,日本のものづくりを支えてきた基盤的技術産業において「匠の技」の衰退が懸念されています.ものづくりのための技能の修得には,視覚的な体験だけでなく,工具や製品の重量感や触り心地,音などのような五感による体験や複数の技能者間のコミュニケーションも重要なことです.そこで,ものづくり基盤技術を事例として,マルチメディア技術・バーチャルリアリティ技術・ロボット技術を融合した場の共有による製造知識の獲得と人材育成について述べます.また,バーチャルリアリティ技術を活用したユニバーサルデザイン製品の設計支援や高齢者・女性労働者の作業支援などの新たな試みについても紹介します.また,愛・地球博プロトタイプロボット展でも一般公開した匠の技を伝えるサイバーアシスト・マイスター・ロボットについても紹介します.